【連載】先代社長(祖父)から受け継いだ、藤塗装工業の「魂」vol.3『勘考する』日本の文化
先代社長である祖父の口グセである「勘考する」心は、創業の精神でもありました。
その精神は、もちろん過去のものではなく、現社長が受け継ぎ実践し、そして今もなお日々の仕事において、後ろ姿を通して見せてもらっているものではあります。
今回は、勘考しながら、発明していくこと、新しいものを生み出していくことについて、私の経験をもとに実際に先代からの精神がどのように受け継がれてきたかについて紹介させて頂きます。
実は、藤塗装工業には、特許において採用されたものがあります。
つまり、先代の時には叶わなかった特許出願が、時を経て、形を変えて実現したことになります。
先代が特許を申請したのが1980年、そして、別の特許で申請が通ったのが2018年、実に45年の時間が経過して実現したのでした。
藤塗装工業は塗装の会社です。主に自動車をはじめとする金属の部品を錆から守る塗装をしています。
特許の内容は金属加工に関するものです。なぜ、塗装会社が金属の加工の特許を目指したのか、それは「金属加工技術を一切持たない自社だからこそできる金属の加工方法があるのではないか?」という問いが出発点でした。
そのヒントは日本人なら誰もがやったことがあるともいえるものにありました。平面を立体にする日本にある技術、それは古くから親しまれて、子どもから大人まで楽しめる遊びの中にありました。
そう『折り紙』です。一枚の紙が、手で折ることによって、動物や花のカタチにできたり、器のカタチにすれば実用的に用いることもできます。想像力と工夫によって無限に平面を立体化できる折り紙に可能性を感じ、研究されている方との出会いもあって、金属加工への応用技術として特許申請ができました。
『勘考する』心は、“できないからこそできることがある”新しいことを生み出す原動力にもなるのです。
先代から受け継ぐ『勘考』の精神は日本の文化である“折り紙遊び”と通じるものがあります。自ら工夫して何かを創りだしていくことは楽しいことです。モノづくりの仕事を通して、一緒に知恵をだしあって、共に手を動かしながら、『勘考』していきましょう。