お客様の❝一言❞ ~失敗は成長の宝庫 !~

社会人は様々な経験を積んで成長していきます。
今回は、仕事の失敗やトラブルを、どのように受けとめれば、自身の成長につなげることができるか、社長の経験をもとにお聞きしたいと思います。
人からの注意・苦言・警告はもちろんのこと、『目の前に起きている苦難・逆境・問題・トラブルはすべて自分にとって❝必要・必然・ベスト』だという言葉に出会ってからは、常に前向きに考えられるようになりました。
また、私は若い頃、お客様が叱ってくれた思い出が山ほどあります。それは私の財産であり、その人たちは私にとって恩人です。その中で印象的なお客様での3つの話をしたいと思います。

品質不良対策で気づいたこと
20代の頃、あるお客様への納品で品質不良を出してしまい、対策書を作成して製品とともに直接お届けに伺いました。
ところが、提出した対策書に押印が漏れていたため、受け取っていただけず、再提出となりました。その時、「対策書のような重要書類ですら基本的な確認を怠ってしまうから、不良が発生するのだ」と痛感しました。
この経験を通じて、品質対策は書類の内容だけでなく、形式や確認の徹底も含めて“信頼”につながるのだと学びました。今でも、あの時の教訓は仕事の基本として心に刻んでいます。
面会申請書から学んだ“敬意”の大切さ
ある日、お客様の購買担当の方と面会するため、守衛所で面会申請書を記入していた時のことです。
担当者名を「鈴木」とだけ書いた私に、守衛の方が一言、「“様”と書いてください」と声をかけてくださいました。ふと隣で記入していたスーツ姿の方の申請書を見ると、そこには「○○様」と丁寧に書かれていて、「ハッ」と気づかされました。申請書のような一枚の紙にも、相手への敬意が表れる。
その瞬間、ビジネスにおける礼節の大切さを改めて実感しました。
“朝一”の約束が教えてくれたこと
以前、お客様の製品で塗装不良が発生した際、「明日の朝一番で伺います」と電話でお伝えしました。
ところが翌朝、急な用事が入り、現地に到着したのは9時半。到着すると、担当の方から厳しい口調で「あなたの“朝一”はこの時間なんですか?」と指摘を受けました。その瞬間、胸が痛みましたが、すぐに気持ちを切り替えて修正作業に取りかかり、最後に「申し訳ありませんでした」とお詫びして帰りました。この経験を通じて、約束の言葉には責任が伴うこと、そして時間を守ることが信頼につながるのだと深く学びました。
“朝一”という言葉ひとつにも、相手の期待が込められているのです。
3つの話は、どれもささいな事のように思うかもしれませんし、逆に「そんな細かいこと言わなくても。」と腹を立てることがあるかもしれません。しかし、お客様が叱ってくれた一言は、期待しているから言ってくれたのだと向き合えば、仕事を円滑に進める気づきがたくさんあります。
今でもお客様からのお話は、感謝の気持ちで素直に聞き、ベストを尽くす気持ちに変わりはありません。ぜひ、新入社員の皆さんに限らず、従業員一丸となって、お客様からの“一言”を大切にし、会社全体で成長していきましょう。